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「阿蘇野草園の植物便覧」


2018年3月26日 
熊本県博物館ネットワークセンター ミュージアムパートナーズクラブ南阿蘇植物の会では「阿蘇野草園の植物便覧 2018年3月」を発刊しました。
 
「阿蘇野草園の植物便覧 2018年3月」から一部引用します。

これまでの活動の成果の一つとして、製作した標本(希少植物と園の柵内に生息する植物を除く)を基に阿蘇野草園の植物便覧を作成し、さらに1984年に作成された「阿蘇野草園の植物 1984年」との比較を行いました。開園当時にあった植物が現在は無かったり、反対に開園当時には無かった植物が現在はあったりするなど阿蘇野草園における植物の変遷を見ることができます。


ミュージアムパートナーズクラブ「南阿蘇植物の会」が平成24年度から平成29年度(平成28年4月14日16日熊本地震のために平成28年度は活動休止)までの6年間に、阿蘇野草園の中で植物を採集し標本を作成した数は688個で、標本により確認された植物は280種になりました。また、写真撮影および目視により確認した植物は129種となり、両者を合わせると409種の植物が確認されたことになりました。内訳は下記のとおりです。

植物の分類法はAPGU(大場秀章(2009))による
シダ植物の種 15種
種子植物 種子植物の種 3種
種子植物 被子植物 1種
種子植物 被子植物 モクレン亜綱の種 6種
種子植物 被子植物 単子葉類の種 69種
種子植物 被子植物 真正双子葉類の種 315種
合計 409種

阿蘇野草園の植物便覧 2018年で作製した標本の数 688点
阿蘇野草園の植物便覧 2018年で作製した標本から確認した種 280種内69種は(+印)
阿蘇野草園の植物便覧 2018年写真撮影・目視で確認出来た種 129種(+種)
阿蘇野草園の植物 1984年の植物目録数 306種
阿蘇野草園の植物便覧 2018年と、
阿蘇野草園の植物 1984年の両方で確認出来た種
 211種(〇印)
阿蘇野草園の植物 1984年では確認されて、
阿蘇野草園の植物便覧 2018年確認できなかった種
 95種(ー印)

上記の結果を「阿蘇野草園の植物 1984年」の306種と比較すると今回の調査で103種(409種-306種)の植物が多く確認できたことになります。その要因として考えられるのは、まず「阿蘇野草園 1984年」には、スズメノカタビラのような一般的なイネ科植物は、目録に掲載されていなかったこと、マヤランなどの毎年決まった場所に姿を見せない植物があること、セイタカアワダチソウなどの外来種の侵入等が挙げられます。次に「阿蘇野草園の植物 1984年」では確認されていたが「阿蘇野草園の植物便覧 2018年」では確認できなかった植物「ーの印が付いた植物」は95種になりました。この要因は、主に今回は草本植物を対象として標本作成を行ったため、シダ植物や木本植物の標本作成が不十分であったこと、野草園内の保護ローブが張られた内側は立ち入り禁止で、奥にある植物は標本作製、目視及び写真撮影ができなかったこと、さらに月1回の例会で花期を逸し、その植物に気づかなかったこと、及び野草園開園当時と現在では、立木繁茂、笹の進出などによる環境変化に適応出来ずに姿を消したものがある等が考えられます。


本書の発刊をもちまして、熊本県博物館ネットワークセンター ミュージアムパートナーズクラブ南阿蘇植物の会は解散しました。


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